家って普通木の家でしょ?
コンクリートとか鉄骨で建てなければ木造でしょ?
確かにほとんどは木造住宅って呼ばれているね。
でも、木造住宅といってもいろんな考え方や造り方があるんだ。
木を使わない木造住宅
ひと昔前は木造住宅といえば柱や梁(はり)等には当たり前に無垢材が使われていました。今のようにプレカットもなかったので大工さんが材料を一本一本吟味して加工していたんですね。
しかし、技術の発達により合板・集成材・新建材等が普及してきて無垢材を見えるようにを使う住宅は減ってきています。(壁の下地や天井の下地では輸入品の無垢材が多く使われている)
表面に木目調のシートが張られているだけのものを本物の木だと思ってしまっている人がいるくらい、木を直接見る機会が減っています。
今の大工さんは木を上手く使って家を建てる技術ではなく、早く安くが優先されてしまいがちです。もちろん早くて安いにこしたことはないと思いますがそればかりが先行してしまうと、木を活かした家づくりができる大工さんはいなくなってしまいます。
木を上手く活かした家の特徴
今はいろんな建材があるんだから
それを上手に使ってきれいな家を作ればいいんじゃないの?
無垢の木にはたくさんのメリットがあるんだ。
もちろんデメリットもあるから上手く取り入れたいね。
調湿効果
無垢の木には空気中の湿気を吸ったり吐いたりして室内の湿度を適度に保ってくれる効果があります。
湿度が高すぎるとジメジメしたり、結露・カビ等の原因になることも。逆に乾燥しすぎると喉を痛めてしまったりする。
せっかく柱材に無垢の木を使ってもビニールなどで柱を隠してしまってはその効果は無くなってしまいます。
床とかに木を使っていれば面積も多いし
結構効果あるんじゃないの?
こんな風に思った方も多いのではないでしょうか?
そもそも新建材と呼ばれる合板にシートを貼ったようなものは無垢の木ではないので調湿効果はありません。無垢の床材でもウレタン塗装のような表面を固めてしまうようなものが塗られているものもほぼ調湿効果はないと考えてもいいでしょう。
無垢の床材にワックスやオイルのような天然塗料を塗ったものであれば床だけを無垢材にしてもそれなりの効果はあると思います。
無垢材は調湿効果があるものの柔らかい為、傷が付きやすいのが欠点。特にスギやヒノキなどの針葉樹は柔らかいのでこの欠点を理解した上で使用しましょう。
床以外にも柱・梁などを見えるようにしてあげることで更に調湿効果は高くなります。その為に木を活かす大工の技術が必要になってきます。
調湿効果とは少し違いますが、無垢の床材は夏場のジメジメした日でも表面はさらっとしているのでペタペタする感じがなく気持ち良く過ごすことができます。
木の香り成分(フィトンチッド)による効果
フィットンチンドン?
初めて聞く言葉なんですけど・・・
フィトンチッドというのは植物が
自分の身を守るために放出する揮発性の物質なんだ。
それが家づくりになんの関係があるの?
実はフィトンチッドには
住環境へのいろいろな影響が確認されているんだ。
殺菌効果
フィトンチッドとウイルスの関係は様々な研究がされています。
- 1984年に、日本農芸化学会誌に掲載された研究では、ヒノキのフィトンチッドが、大腸菌や黄色ブドウ球菌などの細菌を殺菌する効果があることが示されました。
- 2003年に、日本薬理学雑誌に掲載された研究では、竹のフィトンチッドが、インフルエンザウイルスを殺菌する効果があることが示されました。
- 2010年に、日本環境衛生学会誌に掲載された研究では、杉のフィトンチッドが、ノロウイルスを殺菌する効果があることが示されました。
これらの研究結果から、フィトンチッドには、幅広い細菌やウイルスを殺菌する効果があることがわかります。そのため、フィトンチッドが放出される環境では、風邪やインフルエンザなどの感染症のリスクを低減することができます。
また、フィトンチッドには、消臭効果やリラックス効果、抗酸化作用など、住環境をより快適で健康なものにする効果もあります。そのため、フィトンチッドが放出される環境で生活することで、健康的な生活を送ることができます。
出典:農林水産省Webサイト(木材は人にやさしい:林野庁)
消臭効果
- 悪臭の原因となる物質と反応して、無臭の物質に変化させる。
- 悪臭の原因となる物質を吸着して、取り除く。
- 悪臭の原因となる物質の分解を促進する。
フィトンチッドは、タバコ臭、ペット臭、加齢臭、生ゴミ臭など、さまざまな悪臭を少なくすることができます。上手く室内に取り入れて快適な住環境にしましょう!
リラックス効果
- 脳の神経活動を抑制する。
- ストレスホルモンの分泌を抑制する。
- 血圧を下げる。
- 心拍数を下げる。
- 呼吸を深くする。
フィトンチッドは、リラックス効果が高いため、ストレスや不安、緊張を解消するのに役立ちます。また、睡眠の質を向上させる効果もあります。
出典:農林水産省Webサイト(木材は人にやさしい:林野庁)
木をたくさん使った家に入ると気持ち良く感じるのには
ちゃんと理由があったんだね。
視覚から与える影響
- 木材の色は、温かみや落ち着きを感じさせるものが多いため、リラックス効果があります。また、木材の色は、部屋の雰囲気を大きく変えることができます。
- 木材の質感は、温かみや柔らかさを感じさせるものが多いため、心地よい空間を演出することができます。また、木材の質感は、部屋の印象を大きく変えることができます。
- 木目は、自然の美しさを感じさせるものであり、部屋にリラックス効果を与えます。また、木目は、部屋の印象を大きく変えることができます。
- 木材は紫外線を吸収するため、紫外線による肌や目へのダメージを軽減する効果があります。
このように、木材は視覚にも大きな影響を与えます。木材の色、質感、木目、紫外線吸収効果によって、部屋の雰囲気を大きく変えることができます。
他にも小学校で、木製の机と椅子を導入したところ、子ども達が、物事に熱心になった、あくびがあまりでなくなったといった「良い傾向の変化」が多かったという調査結果も出ています。
出典:農林水産省Webサイト(木材は人にやさしい:林野庁)
国も木材の利用を後押ししているんだね。
自治体によっては地元の木材を使って家を建てると
補助金がもらえるところもあるから調べてみるといいよ。
木を使った家の良いところは分かったけど
デメリットはないの?
もちろん良いところばかりじゃなくて
気を付けなきゃいけないこともあるよ。
木の家・無垢材のデメリット
良いところだけをみて「木の家にして後悔した!」なんてことにならないように、ちゃんとデメリットも理解した上で検討しないといけません。
木は狂う
木材は湿気を吸ったり吐いたりしてくれるという話をしましたが、その副作用として伸び縮みしたり反り返ったりすることがあります。
我が家は全て無垢の杉を使った建具ですが、夏のごく暑い日には玄関とリビングを仕切る建具を閉め切っておくと戸が反って方立に当たってしまいます。
- 我が家の玄関の建具
リビング側はエアコンをつけているので湿度が低い、玄関側は閉め切っているため湿度が高い。
この湿度の差によって玄関側が伸びて戸が反り方立に当たってしまいます。
分かりづらいかもですが上の右の写真を見ると上の方は隙間がありますが真ん中付近では完全に隙間が無く当たってしまっています。
これは少し戸を開けたままにしておくことですぐに直ります。
この他に収縮による影響として、床や壁・天井に無垢の木を使うと隙間が空いてしまうことがあります。しっかり乾燥した材料を使用することである程度抑えることはできますが完全になくすことはできません。
木は傷付きやすい・凹みやすい
木は柔らかく肌触りが良い反面、傷や凹みに弱いデリケートな材料なんです。
急に親近感が沸いたなー。
僕も傷付きやすくて凹みやすいんだ。
・・・・・
多少の傷や凹みは少し水を含ませてあげるとある程度元に戻ります。濡れたタオルの上からアイロンを当てるなんてやり方もよく紹介されていますね。
木はヒビがはいることがある
実際に木の家に住んでいる方は分かると思いますが、建ててから3~5年くらいまでは柱や梁から「ピキピキ」「ミシミシ」とヒビが入る音が聞こえます。たまに「ピキッ!!」っとびっくりするくらい大きな音がすることもあります。
「大丈夫ですか?」なんて言われることもありますが、木の繊維方向と同じ向きのヒビなら問題ありません。(柱なら縦向き、梁なら横向き)
まとめ
木造住宅といっても最近は本物の木が見える家が減っているのでなかなか木材を見る機会がありません。無垢の木には様々な特徴があります。
これから家づくりを検討している方はその特徴を活かすように上手く無垢材を取り入れて快適な住空間を造りましょう!
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