今回は「真壁」について詳しく解説していきたいと思います。
そもそも真壁や大壁という名前を聞いたことがないという人も多いのではないでしょうか。
これを知らずに家づくりの計画を進めていくと現在ではほとんどの場合が、大壁となります。
というのも真壁は限られた工務店等でしか対応することができません。詳しい理由は後述しますが、真壁の家を建てようとすると高い技術力が必要となります。
好みが分かれる部分なのでどちらがいいというわけではありませんが、知っていて自分で選択するのと知らずに選択の余地もなく一方に決まるのであれば自分で選択して決めたいところですよね。
真壁??
初めて聞く言葉だな
聞いたことはなくても
見たことはあると思うよ
家づくりを検討し始めると知らないことが多く、迷いと選択の連続となります。まだ先だからと言わず何年先であろうといずれ建てるつもりであれば今から少しずつでも情報を集めておきましょう。
解説していますので参考にして下さい。
真壁と大壁の違いとは?
簡単にいうと真壁は柱が見える壁、反対に大壁は柱が見えない壁です。
真壁
真壁の場合は柱が見えてきます。柱だけでなく場合によっては梁等も見えてきます。
大壁
大壁はこのように完全に柱は見えなくなります。
真壁のメリット・デメリット
見た目に大きく影響するためどちらがいいかは好みにもよりますがここで真壁のメリットとデメリットを確認して検討してみましょう。
メリット
木の質感やぬくもりを感じられる
真壁の一番のメリットはやはり木を感じることが出来るというところではないでしょうか。
無垢の木が好きな人はとても惹かれるポイントになるかと思います。
直接木を触る機会が増えることで更に無垢の木が好きになり、我が家に愛着も湧いてきます。
独特の雰囲気を演出できる
真壁というと昔ながらの日本家屋や立派な床の間のある座敷のようなイメージを持つ人もいるかもしれませんが、実は真壁にしたからといってそれほど和風感が出るわけではありません。
もちろん素敵な和風住宅にすることもできますが「真壁=純和風」ではないことは覚えておきましょう。柱や梁がデザインの一部になることでアクセントにもなり力強さを感じることができます。
真壁という選択肢は無かったけど実際に見てみたら意外と好みかもという人も多いと思います。
湿度の調節がしやすい
床に無垢材を使っていれば調湿の効果は十分あるかと思いますが、柱や梁も体積を考えると大きな効果を発揮してくれます。
真壁にすると自ずと無垢材を使用する割合も増えます。手すりや建具なども無垢材になることが多くなり、家全体で調湿してくれるようになります。
リフォームしやすい
構造材がそのまま見えるため将来リフォーム等をする際に計画が立てやすくなります。将来のことまで考えて柱の位置を決められればいいですが必ずその通りに行くとは限りません。
柱の位置をずらす必要があった場合でも梁等の状況がわかればどうやって工事すればいいかを判断することができます。
一方、大壁の場合は柱の位置や梁の状況を調べる必要があります。
建てた当時の図面を確認したり(図面と実際の柱の位置が違うなんてこともありえます。)、天井点検口等からのぞいてみて確認するしかありません。それでも確認出来ない場合は壁等を壊して実際に確認するほかありません。
削ることができる
大壁の場合は壁の角等を傷付けてしまうと補修するのは大変です。
一方、真壁の場合は角にはたいてい柱が建っています。多少の傷であれば削ることである程度直すことができます。
鉋で削るとなると鉋が使える大工に依頼する必要がありますが、紙やすりで削る程度であれば誰でも比較的簡単に直すことが出来るのではないでしょうか。
少し凹んだくらいであれば水を含ませてあげることである程度は元に戻ります。
デメリット
コスト・時間がかかる
真壁の場合、無垢の材料を使うことが多くなります。そうなると材料の単価も上がってしまいますし、下地材等も大壁に比べると多く必要になる為数量も増えて材料費が多くかかってしまいます。
一番の要因は大工手間ではないでしょうか。
木を多く使う真壁は木の扱いに長けてる職人でないといけません。木と木の間に隙間が空いてはいけないので様々な技術を駆使して作業していく必要があります。その為、ある程度のコストと時間がかかってしまいます。
「木を使うなら気を遣え!」
これ先輩の職人たちに散々言われました。
室内のデザインに影響する
メリットのところでも言いましたが、柱や梁が見えるのはデメリットともなりえます。
実際にどのように見えてくるのかをしっかり確認しておかないと思ってたのと違うなんてことにもなってしまいます。
図面だけだとなかなか分からない部分もあるかと思いますので内観パース等を用意してもらえるなら用意してもらって確認できるといいですね。
真壁づくりに必要な施工技術
具体的にどのような技術が必要になるのか簡単に確認してみましょう。
柱・梁
構造材が見えるということはここでもきれいに見えるような工夫が必要になってきます。
それを考えると木の特性や構造を熟知した大工が墨付け・手刻みによって建てた家もいいのではないでしょうか。
近年はプレカットによる加工が主流になっているので単純にそういった仕事ができない大工がほとんどですので、できる大工を見つけるのが大変かと思います。
それでも必ずできる大工はいますので探してみるのもいいかもしれませんね。
窓
大壁の場合は腰窓(腰くらいの高さから上の窓)であれば四方の枠を組んでサッシにはめ込めばいいですが、真壁の場合柱に掘り込みをしてサッシの上下に木を隙間なく入れる必要があります。
床
大壁の場合は柱に石膏ボードを貼るので床はその厚みの中で納まればいいですが、真壁になると柱の部分はそういうわけにはいかないので柱を少し欠き込んで床を差し込むようにしなければなりません。
建具
木製建具を使う場合、建具の上に鴨居という木を取り付ける必要があります。
引き戸の場合はこの鴨居に溝をついておく必要がある場合もあり、大変な作業になります。
無垢の柱は多少のねじれがあったりしますが、それでも隙間が空いてはいけません。
そこで柱のねじれを差金(大工が使う直角の定規のようなもの)を使って鴨居材に写して加工していきます。
まとめ
今回は柱が見える真壁について解説しました。
単純に早く・安くを追求してきた結果、真壁の家を建てれる大工は減ってきています。
木が好きで木の家を検討している人は真壁を選択するのもいいのではないでしょうか。
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